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一般社団法人日本フェムテック協会×福井県×高浜町『“みんなゴト”として考える、女性の健康課題と持続可能な地域づくり』開催レポート

はじめに


昨年のライフスタイルデザイン会議で提案されたプロジェクトの一つである女性が元気な町づくりの活動として、一般社団法人日本フェムテック協会の主催、福井県及び高浜町後援による『“みんなゴト”として考える、女性の健康課題と持続可能な地域づくり』を8月2日に福井県高浜町・高浜公民館にて開催しました。オフラインとオンラインのハイブリッドで実施し、すべての人が自分らしく社会に貢献できる地域づくりを目指して、著名人による講演やパネルディスカッションなどが行われ、会場約40名、オンライン約100名の方が参加されました。



今回のセミナーの主催者である日本フェムテック協会は、フェムテラシー(ウィメンズヘルスリテラシー)向上のため、さまざまな啓発活動を行っています。今回のイベントは【地域が変われば日本が変わる!】というテーマのもと、フェムテックの視点を取り入れた地域創生の取り組みとして始動させたものです。

開催への思い 日本フェムテック協会幹事
 小口彩子さん(高浜町)

福井県は47都道府県幸福度ランキングで4回連続1位、女性の就業率1位を獲得しています。一方で、県内にある企業の女性管理職比率は46位となっており、離職する女性も少なくありません。そのため、働きやすい職場づくりを進めていくためにフェムテックの視点を取り入れ、フェムテラシーの正しい知識を持つことの大切さを啓発していきたいと考えています。そこで今回は、福井県および高浜町の後援で日本フェムテック協会の主催イベントを開催することとなりました。

※47都道府県幸福度ランキング⇒(一財)日本総合研究所が発表している都道府県幸福度ランキング
女性の就業率1位 女性管理職比率46位※R3福井県男女共同参画年次報告書より


日本フェムテック協会による開催レポート


高浜町長にもご挨拶をいただきました。

フェムテックアンバサダーにも合格されました!

女性の健康課題とフェムテック

第1部の基調講演では、女性医療クリニックLUNAグループの理事長であり、女性泌尿器科医師の関口由紀先生から【女性の健康課題をフェムテックで解決する】をテーマにお話しがありました。関口先生は、日本フェムテック協会の代表理事も務めています。
 

女性医療クリニックLUNAグループの理事長であり、女性泌尿器科医師の関口由紀先生


女性ホルモンは揺らぎが激しい


女性は、女性ホルモンの揺らぎと欠乏により、更年期のさまざまな症状や疾患が起こります。年齢を重ねた女性のQOL(生活の質)の維持には下半身への対策が重要で、「骨盤底筋群」とGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)に着目。予防のためには、下半身の筋力トレーニングやフェムゾーンの保湿といった、エイジド・フェムケアが大切になるとのことでした。
 
フェムテックは「女性だけのもの」と考えられがちですが、そうではありません。「社会全体の役に立つもの」として上手に活用していくためにも、女性の身体についての知識を向上させていくことが今後は必要だと、関口先生は語ります。そして個人個人が自分で自分の心と身体を知り、守っていくことで、自分が楽しいと感じる生き方を選択できる社会を実現することを目指していきたいと述べられました。

【フェムテック検定3級】について

続いての基調講演では、女性医療ジャーナリストの増田美加さんから【フェムテック検定3級】についてのお話です。増田さんは、日本フェムテック協会の理事も務めています。
 

女性医療ジャーナリストの増田美加さん


まず、女性の活躍支援をしていくにあたり、男性基準の健康支援を変える必要があると考えています。生物学的な性差に対応するためにフェムテックが果たせることはたくさんあるといいます。妊娠・出産世代も働く時代に突入しており、働く女性が全年齢で増加している現在、ニーズも多様化。そして、会社と個人がウィンウィンの関係になることが大切になってきます。
 
女性が働くうえでは「月経・更年期症状による経済損失」「月経やPMSによる苦しみ」「更年期症状が原因による離職」などが、大きな課題となっています。一方で、ヘルスリテラシーが高い人の方が仕事のパフォーマンスが高いこともわかっているため、フェムテラシーを高めることが社会課題の解決へと繋がるとお話しされました。
 
フェムテック検定3級は、フェムテラシーを高める第一歩となる、日本フェムテック協会の認定資格です。WEBから10分で受けられる全15問の選択式テスト。フェムテックやフェムケアなどの基礎知識が出題されます。この検定は、多くの方に女性特有の健康課題があることを広め、関心を持ってもらうことを目的としています。
 


このほかにも増田さんからは、女性の心身のコンディションの特性やその対策方法などについても解説。フェムテラシーが向上することで健康行動を起こすことができ、女性がありたい自分の姿を追求することができるとお話しがありました。

女性の挑戦を応援する福井県の取り組み

第2部では、福井県未来創造部女性活躍課で課長を務めている田中智美さんが、【女性の挑戦を応援する福井県の取り組み】について紹介されました。

 

福井県未来創造部女性活躍課 課長田中智美さん


福井県は共働きの割合が全国1位など、働く女性がたくさんいる県です。しかしながら、男女での賃金格差があり、女性管理職が少ないことから組織の中で女性の意見が反映されにくい傾向があります。さらに、家庭における家事や育児を主に女性が担っており、女性がゆとり時間を取れていないことがわかっています。
 


そのため、福井県では女性活躍推進の取り組みを行っています。意欲を持った女性社員が活躍できる職場づくり「ふくい女性活躍推進企業」の増加を進め、家族と家事などをシェアする「共家事」も促進しています。そして第4次福井県男女共同参画計画の愛称を「ふくい”しあわせ実感”パートナープラン」と定め、多様な価値観を認めて応援し合う、男女共同参画社会の実現を目指します。さらに、お茶の水女子大学と連携した「ハッピーキャリア”縁”カレッジ」では、管理職育成などのさまざまな講義を用意。企業での女性活躍を推進しています。
 
このほか未来を担う子どもたちにも男女共同参画の想いを伝えていくため、授業やセミナーの開催の他、相談窓口、コミュニティの設置などの取り組みが進められています。職場での女性活躍、家庭での男性活躍を進めることが、男女ともに”しあわせ”を実感できる社会につながっていくと田中課長は話されました。


フェムテックエキスパート認定証授与式も開催


2部と3部の間の時間には、高浜町と小浜市の合格者に向けてフェムテックエキスパート認定証授与式も開催しました。

高浜町の合格者のみなさんと記念撮影

パネルディスカッション「女性の健康から始める持続可能な家族のあり方」

第3部では、株式会社平田不動産代表取締役社長の平田稔さん、医師でヨガ数秘インストラクターの寺坂千夏さん、株式会社シルキースタイルの代表取締役で日本フェムテック協会代表理事の山田奈央子さんによるパネルディスカッションが行われました。
 

左から 株式会社平田不動産代表取締役社長の平田稔さん、
医師でヨガ数秘インストラクターの寺坂千夏さん、
株式会社シルキースタイルの代表取締役で日本フェムテック協会代表理事の山田奈央子さん


寺坂さんは医師の立場から「もっと自分の心や身体について知ってほしい」と話します。病気がある人でも自分の心や身体に興味を持たず、ただお薬や治療を受けているだけ、という人も少なくないそうです。自分の正常な状態をわかっていないと、どこからが異常なのかもわかりません。だからこそ、普段から自分の身体の声をもっと聴いてほしいとの想いを語られました。
 
平田さんは経営者としての立場から「経営者は、組織の一人一人が生き生きできるためにはどうすればいいかを考えている」と言います。あるきっかけで女性にはさまざまな健康課題があることを知った平田さんは、経営者同士でも女性のヘルスケアの重要性を話題として共有。地域や業界にフェムテックの考え方が浸透していくこと、より学んでいくことを大切に今後も取り組んでいきたいとお話しされました。
 
山田さんは、「フェムテックが女性だけのものと思われがち」であることを残念に感じており、女性だけでなく男性もフェムテックを理解し、互いに相互理解を深めることが、ウェルビーイングな地域社会の1歩につながると考え、より多くの方に広めていくことの大切さを実感しているとのことでした。
 

(一社)日本フェムテック協会 代表理事の山田奈央子さん

このほかにもさまざまなトピックでディスカッションが行われました。すべての人が自分らしく、生きる、暮らせる、働ける、次世代につなぎたいと思える未来につなげていく、そうした社会を作り上げていくためにも、フェムテラシーの向上と相互理解を深めるための対話、みんなゴトとして考えていくことがこれからも一層必要となります。

参加者の声

とても勉強になりました。中小企業として女性の活躍はとても大切だと考えています。

年代ごとの不調、男性と女性のホルモンの変化の違いなどを知ることが出来ました。

自身の女性社員に対する意識の変化があり、とても有意義な時間を過ごせました。

貴重なお話を聞かせていただき、大変参考になりました。具体的な健康づくり、地域づくりについてもう少し詳しく聞きたかったです。

アンケートより抜粋


イラストレーターchuncoさんによるグラレコ


※ 以上、日本フェムテック協会による開催レポート

今後の展望

日本フェムテック協会は、女性の健康と持続可能な地域づくりの取り組みを進める中で、新たなアプローチとして以下の取り組みを検討しています。 

 ① 地域産業との連携: フェムテックの視点を活かし、高浜町の薬草などの地域産品を活用したフェムテック商品やサービスの開発支援

 ② 高浜町内での女性健康講座の開催: 女性の健康リテラシーの向上を目指し、地域施設や公民館での情報提供やセミナーの開催の支援

これらの活動を通じて、日本フェムテック協会は、福井県高浜町と共に女性の健康と地域の持続可能性を向上させるための取り組みを進めていきます。


フェムテックに関するお問い合わせ
日本フェムテック協会は、ともにSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の達成を目指すパートナーを探しています。職場全体のフェムテラシーを高めたい、情報交換するコミュニティを必要としている、女性の活躍を推進したいといった考えを持つ企業の皆さまは、ぜひご連絡ください。
一般社団法人日本フェムテック協会ホームページ


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