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遊休農地を活用して、体に良いお茶ができるまで。高浜の六次産業「青葉の杜仲茶」インタビュー
皆さんこんにちは。actcoinスタッフの黒木です。
actcoinでは、福井県高浜町と連携し、高浜町特産品プレゼントキャンペーンを実施中です。今回の記事では、プレゼントの1つである「杜仲茶」を製造・販売する山惣ホーム株式会社の取締役 山本美幸さんにインタビューをしました。
またインタビュアーは、第1弾、第2弾に引き続き、高浜町在住の高校生3名です!
山惣ホーム株式会社とは?
山惣ホーム株式会社は、福井県の高浜町にある会社です。建設業を主にされていますが、杜仲茶の製造販売など農業や、旅館業など幅広く事業を展開されています。
杜仲茶については、「青葉の杜仲茶」というブランド名で、ティーバックや茶葉など様々な形態で販売されています。全国どこからでもオンラインで購入が可能です。
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インタビューが開始。杜仲茶の魅力や製造方法について
若:本日は、取材にご協力ありがとうございます。まずは今回のプレゼントである杜仲茶の魅力について教えてください。
山:杜仲茶も全国に色々なものがありますが、弊社の杜仲茶は焙煎にこだわっているので、とても飲みやすいですよ。杜仲茶は、デトックス作用を促すゲニポシド酸など、他の飲み物には含まれていない要素などたくさんの栄養が含まれています。お茶の代わりに毎日飲んで、自分の体に吸収されていくよう、習慣にしてほしいお茶です。
若:杜仲茶ができるまでに、どれくらいの時間がかかりますか?
山:まず苗木を買ってきて植えてから、だいたい2~3年で葉っぱが収穫できるようになります。収穫は1年に1回だけ、8月末~10月始めの1カ月半の間に収穫するんです。
冬場には「剪定」と言って枝を切る作業をします。枝を切ることによって、栄養素がギュッと1本の枝にいくことになります。すると春ごろに青い葉っぱが出てきて、夏の終わりごろに収穫できるようになります。
杜仲の木は虫が寄らないので、防虫剤を撒いたりする作業が一切要らないんです。木の周りに生える雑草をとる草刈りだけ。安全で育てやすい木なので、作業自体は大変なことはないです。ただ暑い時期に収穫するので、その作業は大変で過酷な作業です。
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若:売られている製品では、ティーバックと茶葉があるのを見ました。作業工程に、どんな違いがあるのでしょうか?
山:実際の作業をまとめた動画を見てみますか?
最初の46秒くらいまでが、夏の終わりから9月に収穫している様子です。全部で木が8,500本ほどあります。茶葉というのは、全て取った葉っぱを乾燥して、焙煎したお茶を飲みやすくするのがティーバック。そのまま袋に入れたものが茶葉なんです。なので茶葉とティーバックの違いというのは、ティーバックに入っているかどうかの違いだけなんです。
(動画46秒から)次に収穫した葉っぱを乾燥棟というところで乾燥させます。夏場だと、この中はだいたい60℃くらい…。
若:とても暑いですね!!
山:もうめっちゃ暑い!(笑)私たちも1分もいられないくらいの暑さなので、交代で作業します。
これ(動画1:30ごろ)が乾燥された茶葉を、裁断している様子です。裁断機に入れて、お茶の葉っぱを裁断して、今度(動画1:42ごろ)は焙煎という作業をします。焙煎機の中で、グルグル回しながらいぶります。1回目の焙煎です。
(動画2:08ごろ)作業をしているのは80のおじいちゃん。すごい元気な方ですよ。それをもっと細かく裁断した状態がこれ(動画2:15ごろ)。これを冷ますんです。
(動画2:40ごろ)次が2回目の焙煎で、これが弊社の杜仲茶の特徴です。2回の手間をかけて焙煎するというのが、甘い香ばしい香りの出る杜仲茶の工夫です。
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(動画2:57ごろ)この状態で1kg、500gで販売しているのが「茶葉」の商品です。弊社は、焙煎茶葉にこだわりがあるので基本、乾燥のみの葉の販売はしていません。次にティーバックに入れる作業です。
(動画3:30ごろ)そして金属探知機で、中に異物が入っていないかを検査します。パッケージに詰めるのは、全て手作業です。「よその業者にティーバックに入れる作業だけお願いします」ということはなく、うちで一貫して栽培から発送まで全部しています。「安心安全、責任は弊社で全部負いますよ」と自信をもって言えるように製造しています。
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(動画4:10ごろ)こうやって窒素を入れることで、風化を防いだり防虫剤の代わりになっています。ここまでの流れが1年間の作業です。
話をするのも良いんやけど、こんなんを見てもらうのが一番わかりやすいかなと思って(笑)
動画の最後は、「こうやって飲んでもらったら美味しいよ」という流れをお見せしています。以上です。
若:ありがとうございます。とても分かりやすい映像でした!
続いての質問です。杜仲茶は、杜仲の木から作られていると思うのですが、よい杜仲茶を作るには、どういう葉っぱが良いのでしょうか?
山:杜仲茶の事業を始めた最初は、採る時期がいつ頃から始めて良いか分かっていませんでした。決まるまで2~3年くらいかかりました。
葉っぱは春ごろから6月まで結構大きくなってくるので、7月の初めごろに収穫したことがあったんです。すると、なんだか味がおいしくなかったんですね。「なんでかな」と思ったら、葉っぱが小さかったからでした。
男性の手のひらサイズまで我慢して待っていると、葉っぱの肉厚が分厚くなってきます。「男性の手のひらサイズまで大きくなったら収穫しよう」という結論にたどり着きました。
これが栄養的にもベストかなと思っています。あくまでも自論です。(笑)
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あとは土も大事なんです。稲作をしなくなった田んぼを借りたり買い取ったりして、そこに土を入れて杜仲茶を植えています。土地によって、もともと栄養が高い土地と、栄養が低い土地があるんです。それによって、葉っぱの色も大きくなる速さも変わってきます。なので栄養が低い土地には、鶏糞など栄養のあるものを根元にまいて栄養素を補っています。
土の栄養と葉っぱの大きさを、我慢して待つのがコツかなと思います。
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若:そんな試行錯誤で、おいしいお茶が生まれたんですね。次が杜仲茶については最後の質問です。杜仲茶と一緒に食べると良いおすすめの料理はありますか?
山:杜仲茶自体は後味がすっきりしているので、脂料理とかそういうものと一緒に飲むのが良いと思います。私のおススメは、杜仲しゃぶしゃぶ!
一同:(笑)。
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山:牛とか豚とか、しゃぶしゃぶという料理あるでしょ。あれに、普通は昆布を入れてお湯を張るくらいだと思うんですが、そのお湯を杜仲茶にして、お肉とか野菜をしゃぶしゃぶしていきます。すると部屋中に杜仲茶の香りが充満して、肉の脂分もさっぱりしておいしいんです。私自身がやってみて美味しかったと思う料理ですね。
あとはスイーツとかにも使われていますよ。UMIKARA(高浜町の6次産業施設)には、「杜仲茶ソフトクリーム」というものが売っていますが、弊社の「杜仲茶パウダー」を使用して頂いてます。
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あとはチーズタルト・チーズケーキなんかに合います。チーズが一番合うかな。あと、私はホットケーキミックスに杜仲茶を入れて、ロールケーキにしたりホットケーキにしたりして食べています。
若:とても美味しそうです。私たちもやってみます。
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若:次に高浜町、地域について質問させて下さい。高浜町青郷地区のよいところを教えてください。
山:私も青郷育ちなんですよ。
まず高浜町は、立地条件が良いですよね。杜仲茶がこんなに育ちやすいのは、山があり海があり、地形が良いからだと思います。
あとはみんな、昔から助け合いの精神は強いと思います。
関西方面にも近いので、都会の雰囲気も感じますよね。三松の海を中心に、観光客の人も来ているので。田舎の良さを残しながら、田舎過ぎないのが良いところだと思います。
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若:青郷の行ってみると良い場所はありますか?
山:今だったら、脇坂うみぞら公園。おととしくらいに出来たところで、パワースポットになっています。あそこは、若狭湾が羨望できる良いところです。
あとはハーバルビレッジ。その2箇所がおすすめです。
お店は、有名なところで言うと「のぶ幸」。それと、うちの会社がやっている「活魚料理の雄海(ゆうかい)」というお店もあります。そこも杜仲茶を使って料理をしています。おすすめは、こんな場所ですね。
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若:素敵なお店を教えて下さり、ありがとうございます。
次はSDGsについての質問です。まず山惣ホームさんで取り組んでいるSDGsに関連する活動があれば、教えてください。
山:弊社が重視しているのは、「地域に貢献する」という点です。従業員が50人くらいいるんですが。地域の行事ごとに積極的に取り組む人が、社長を始めとても多いんです。
去年、おととしに無くなってしまいましたが「櫓龍(やぐらドラゴン)」。この活動に従業員が10名以上、関わっていました。各地域のお祭り・行事ごとなどに積極的に参加しやすいように、会社の休日を決めたり有休がとりやすいように配慮しています。
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あとは杜仲茶については、田んぼの遊休地を再利用しています。今まで19箇所の遊休地に杜仲茶を植えて、さらに最近はレモンも植えています。高浜町の名産を維持することに貢献できるよう努力しています。
それと、高齢者の雇用にも取り組んでいます。これも杜仲茶の事業で、70~80歳のおじいちゃんたちが働いています。正社員というのは体力的に大変なことも多いようなので、季節ごとに「草刈りに来てください」とか「収穫に来てください」と、負担にならない程度で、楽しみながら来ていただける職場を作っています。
こういう点が、うちが力を入れているSDGsだと思います。
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若:次が最後の質問です。高浜町で大切だと感じるSDGsの取り組みについて、教えてください。
山:そうですね…。今、一次産業は後継者がいないですよね…。高浜町は、町をあげて水産系、農業系に力を入れているようですが、そもそも人が少なくなっているので、「若い子が一次産業に興味をもって携わる、やってみる」ということをしてもらえると後継者が増えていくと思うんです。
一次産業もデータや数値を活用・分析して伸ばしていく発想が大事だと思います。それとネットワークなどを通しての他所とのコミュニケーションも必要だと思います。
なので、そういう勉強もしているような若い人に農業・水産に携わっていってもらえると嬉しいですね。そして民間と公共団体が協力し合って、若い人を育成していく。それが大事なことかなと思います。
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山本さん、大変お忙しいところ、インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。キャンペーンでプレゼントをお届けできるのが楽しみです!
actcoinでは、今回取材した山惣ホームの「青葉の杜仲茶」が抽選で届くキャンペーンを実施中です。過去に高浜町・若狭高校が主催したイベントにactcoinから参加された方が対象です。
みなさま、ふるってご応募ください。